九州工業大学学術機関リポジトリ

国立大学法人九州工業大学

戦略的研究ユニット化促進プロジェクト

お知らせ

2018.03.13

2018年3月30日 第38回物性グループセミナー (本ユニット主催)

第38回: 2017年3月30日(金) 14:40-17:50 ◇本学HPへはこちらから

【ポスター】 第38回物性グループセミナーポスター

【場所】
九州工業大学戸畑キャンパス・コラボ教育支援棟3階セミナー室
飯塚キャンパス飯塚AV講演室 (TV会議システムを使って中継を行います)

【講演者】

楠瀬博明 (明治大学理工学部 / 教授)

野村悠祐 (東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻 / 助教)

宮崎康次 (九州工業大学 工学研究院 / 教授)

只野央将(国立研究開発法人物質・材料研究機構 / ICYS研究員)

 

【タイトル】 超伝導と熱伝導

【研究会趣旨】 いま物質科学では超伝導と熱伝導に関する研究がホットです。これらの現象制御と最適化に環境材料研究の新しい方向性を見ているからです。現在、理学から工学ひいては企業までの多くの研究者を巻き込んで新しい超伝導体・熱伝導体の探索、またこれらを用いた新デバイス開発の世界的競争が行われています。このたび,これらのトピックに関して大きな成果を挙げている気鋭の若手物質科学研究者を招いて講演を行って頂きます。これらの問題の最前線とは何か、われわれは何を目指すべきか、今後の展望について講演して頂きます。

 

14:40-15:25
【タイトル】 拡張多極子による多様な交差相関現象
【講演者】 楠瀬博明 (明治大学理工学部 / 教授)
【概要】 電子の電荷・スピン・軌道が絡み合った自由度は、微視的な多極子として統一的に記述できる。電気磁気効果に代表される多様な交差相関現象は、複数の原子サイトや複数の軌道にまたがった「拡張された」多極子と密接な関係があることが明らかになってきた。講演では、拡張多極子による交差相関現象をいくつかの例を交えて紹介する。

 

15:25-16:10
【タイトル】 強相関系の数値的研究: フラーレン超伝導体の研究・機械学習の技術を使った多体系ソルバー
【講演者】 野村悠祐 (東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻 / 助教)
【概要】 講演ではフラーレン超伝導体と機械学習ソルバーの開発の2点を取り上げる。前半では、モット絶縁体相を示すフラーレン超伝導体が、なぜs波の超伝導を示すのか(普通はs波超伝導は強相関領域では発現しない)ということを第一原理的に研究した成果を報告する。後半では、機械学習で用いられてきた柔軟な関数形とこれまでの物性物理で使われていた変分波動関数を組み合わせることによって、飛躍的に量子多体系を解析する精度が向上できることを報告する。

 

—休憩 16:10-16:20—

 

16:20-17:05
【タイトル】 有機-無機ハイブリッド材料の低熱伝導率
【講演者】 宮崎康次 (九州工業大学 工学研究院 / 教授)
【概要】 印刷できるフレキシブルな熱電変換モジュール作製のため,無機材料に有機材料を混ぜたハイブリッド材料をインクとして熱電薄膜を生成したところ,従来の経験式では説明できない極めて低い熱伝導率が測定された。この低い熱伝導率の原因として有機-無機材料間に存在する界面熱抵抗に着目し,有機-無機材料からなる積層薄膜を生成して,界面熱抵抗を測定することで現象を考察した.

 

17:05-17:50
【タイトル】 フォノンと格子熱伝導率の第一原理計算
【講演者】 只野央将(国立研究開発法人物質・材料研究機構 / ICYS研究員)
【概要】 高性能の熱電材料や排熱・断熱材料の開発には、熱の主な担い手であるフォノンのダイナミクスと散乱過程を微視的に理解し、それを制御する事が欠かせない。近年、固体の格子熱伝導率や非調和効果を含んだフォノン分散の
第一原理計算手法が開発され、その有効性がさまざまな系で実証されつつある。本講演では、近年の第一原理フォノン計算の発展を概観し、熱電材料への応用例を報告する。