九州工業大学学術機関リポジトリ

国立大学法人九州工業大学

戦略的研究ユニット化促進プロジェクト

お知らせ

2019.03.14

2019年3月29日 第43回物性グループセミナー (本ユニット主催)

第43回: 2019年3月29日(金) 14:00-17:10

【ポスター】 第43回 Kyutech 物性セミナーポスター

【場所】
九州工業大学戸畑キャンパス・コラボ教育支援棟3階セミナー室
飯塚キャンパス飯塚AV講演室 (TV会議システムを使って中継を行います)

【タイトル】
物質の磁性

【研究会趣旨】
今回の kyutech 物性セミナーでは磁性をとりあげます。私達の世界は多くの電気・磁気に関わる現象や製品であふれていますが,磁性とは何か簡単に説明できますか? 磁性は電流が流れると現れます。つまり電荷が移動すると自動的にできます。また物質を構成する原子や電子にはスピンという磁石のもとになるものが本来備わっています。今回の講演会では,前半でスピンを含む物質のミクロな世界のお話をして頂きます。物質内部がいかに不思議な世界か分かるでしょう。後半では,より工学的テーマといえる磁石材料開発についての前線的話題について御講演頂きます。新しい磁性材料を作ることがいかに私達の生活に直結しているか分かるでしょう。

【講演者】

求幸年 (東京大学大学院工学系研究科 / 教授)

堀部陽一 (九州工業大学大学院工学研究院 / 准教授)

三宅隆 ( 国立研究開発法人産業技術総合研究所,材料・化学領域 / 主任研究員)

竹澤昌晃 (九州工業大学大学院工学研究院 / 教授)

 

14:00-14:50
【タイトル】 分裂するスピン
【講演者】 求幸年 (東京大学大学院工学系研究科 / 教授)
【概要】 ある種の磁性体では,極低温においてスピン液体と呼ばれる不思議な量子状態が実現する。そこでは,電子のもつ基本的な自由度であるスピンが分裂し,マヨラナフェルミオンやエニオンといった新しい素粒子が現れる。講演では,キタエフ模型と呼ばれる理論モデルを発端とした最近の爆発的な研究展開を概観する。

 

14:50-15:30
【タイトル】 トポロジカル欠陥をなすドメイン構造
【講演者】 堀部陽一 (九州工業大学大学院工学研究院 / 准教授)
【概要】 遷移金属化合物の相転移では,様々な自由度の凍結に関係したドメインが形成される。一部の化合物におけるドメインはしばしば特有の配列を持ち,トポロジカル欠陥としての特徴を示す。本講演では,六方晶マンガン酸化物やカルコゲナイド化合物などに現れるドメイン構造について報告する。

 

休憩 15:30-15:40

 

15:40-16:30
【タイトル】 計算科学とデータ駆動科学による永久磁石研究
【講演者】 三宅隆 ( 国立研究開発法人産業技術総合研究所,材料・化学領域 / 主任研究員)
【概要】 現代の高性能永久磁石は遷移金属と希土類を主成分とする希土類磁石である。本セミナーでは,希土類磁石化合物の物性を第一原理計算に基づいて議論する。遷移金属の3d電子と希土類の4f電子の相互作用により磁性が発現する電子論的機構や第3元素の役割を考察する。また,機械学習を活用した新磁石物質探索について報告する。

 

16:30-17:10
【タイトル】 磁気Kerr効果顕微鏡を用いた永久磁石材料の磁区観察
【講演者】 竹澤昌晃 (九州工業大学大学院工学研究院 / 教授)
【概要】 磁性体の磁気特性は,磁性体内部の磁気的構造である「磁区」の構造に大きく依存するため,磁石材料の開発において磁区構造を直接把握することは大変重要である。偏光が磁性体表面で反射される際に,偏光面の回転や強度の変化が起こる現象 (磁気光学効果,磁気Kerr効果) を用いた磁区観察手法は,試料に磁界や熱を加えながら磁区構造の変化を「その場観察」できる特徴があり,永久磁石材料においても有用な観察技術である。本講演では,Kerr効果顕微鏡を用いて永久磁石材料等、磁性体の磁区観察を行った事例について報告する。